税務相談室
※法改正により、内容が変更になっている場合があります。
平成21年8月15日発行

贈 与 税

追加的経済対策の一環として国会に提出された税制改正法案が6月19日に成立しました。ここで新設された贈与税の特例に関連して、あるオーナーから次のような相談がありました。タイムリーな事例でしたので今回はこれを紹介します。

(第34号)

Q.息子が家を建てる

息子が家を建てたいと言うので、その敷地として私が所有する土地を提供したいと考えております。タダで貸したら問題になりますか?
 また、家の建築代金の一部を私が出してやりたいと思っています。贈与税のかからない方法を教えてください。

A.1タダで貸すことについて

賃貸借にすると もし、家を建てるのが他人だとしたら、決してタダでは貸さないでしょう。だから、たとえ親子間であったとしても、せめて地代くらいは取らないと贈与になるのではないかと考える人がいるかもしれません。
ところが、この場合、むしろタダの方がいいのです。
もし、ここで地代を取ると、その貸借関係は「賃貸借」となり、土地を利用する権利(借地権)を息子さんに贈与したものとみなされます。借地権の評価額は地域によって異なりますが、土地の価額の3割から5割程度になりますので、贈与税が課されたら大変なことになります。そこで、地代をタダにするか、地代を敷地の固定資産税相当額以下に抑えると、その貸借関係は「使用貸借」ということになり、息子さんは「使用借権」という弱い権利しか取得しません。使用借権の評価額はゼロですから、贈与の問題は生じません。
ただし、使用貸借としているあなたの土地について相続が発生したときは、その土地は建物が建っていない土地(更地)として評価されます。

A.2住宅取得資金の贈与の特例

冒頭に述べたとおり、住宅取得資金について贈与税の非課税枠が新設されました。
この特例を使うと500万円までの贈与については贈与税がかかりません。
この特例は次に列挙するとおり使い勝手のいい制度です。贈与税の基礎控除、あるいは、相続時精算課税制度に先立って優先的にこれを活用するこをお薦めします。

1)この特例は、贈与税の基礎控除、あるいは、相続時精算課税制度と併用することができます。従って、贈与税の基礎控除と併用した場合は610万円(500万円+110万円)までの贈与について、相続時精算課税制度と併用した場合は4000万円(500万円+3500万円)までの贈与について贈与税がかかりません。

2)相続時精算課税制度を使った贈与は相続税の課税の対象に加えられますが、この特例を使った贈与はそれがありません。

3)相続時精算課税制度が使えるのは親子間の贈与に限られますが、この制度は祖父母からの贈与についても使えます。

ただし、次の点にご注意ください。
1)この特例は期間限定です。今年と来年の2年間に受けた贈与に限って適用されます 。

2)この特例の適用を受けるためには、贈与を受けた翌年の3月15日までに、この特例の適用を受ける旨の申告手続きをする必要があります。

3)この特例の適用を受けるためには、贈与を受けた翌年の3月15日までに建物の引渡しを受け、かつ、翌年の12月31日までには引越しを済ましておかなければなりません。建築期間が長期にわたるときは、この点を考慮して贈与の時期を定める必要があります。



ハッピーハウス税務相談室
税理士 坂西 史也
 
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