税務相談室
※法改正により、内容が変更になっている場合があります。
平成29年10月25日発行

税金のかからない贈与

(第81号)

贈与税は、原則として贈与を受けたすべての財産に対してかかりますが、その財産の性質や贈与の目的などからみて、次に掲げる財産については贈与税がかかりません。ここで紹介する「税金のかからない贈与」は、税務申告上何の手続きも要しないため、贈与の事実だけをつかんだ第三者の目からは、そこで行われた贈与の背景や贈与財産の使途が見えません。ことに相続税の調査では、亡くなられた方の預貯金から身内宛に引き出されたお金については「贈与」の観点から厳しく追及されます。答弁の拠り所として今回のテーマを思い出していただければ幸いです。

生活費や教育費

(1)生活費
親や祖父母などから生活費に充てるためにもらった財産で、通常必要と認められるものであれば、その受けた贈与(金銭による贈与が通常です。)について贈与税はかかりません。「生活費に充てるための贈与」と聞けば、まずは、未成年者に対する養育費を想定しますが、ここでは成人した子や孫に対する生活支援も含まれます。


(2)教育費
親や祖父母などから教育費に充てるためにもらった財産で、通常必要と認められるものであれば、その受けた贈与について贈与税はかかりません。ここで言う教育費には、義務教育費用に限らず、医大の就学費用や海外留学費用なども含まれます。従って、これらのために要する費用を、親に代わって祖父母が負担したとしても、その恩恵を受けた孫や、その負担を肩代わりしてもらった子 (孫の親)に対して贈与税はかかりません。


(3)一括して贈与
生活費や教育費に充てるためにもらった財産とは言っても、数年分をまとめてとか、見込み額を前もってと言う場合は、疑問符が付きます。一括してもらった財産は、とりあえずは現金や預金の形で保管され、場合によっては、株式や家屋の取得資金に回すこともあります。このように、生活費又は教育費に充てられなかった部分は、贈与税の課税の対象になります。


(4)一括贈与の特例
前に述べたとおり、一括して受けた贈与については、そのままでは、贈与税がかかります。そこで、「教育資金」や「結婚・子育て資金」を一括贈与した場合の非課税制度の適用を受ければ、これを回避することができます。ところが、この制度は、払出し目的が制約される上に払出し手続きが面倒であること、さらに、子や孫が一定の年齢に達するまでにこれらの資金を使い切ってしまわないと残額に対して贈与税がかかることなど、煩わしい側面もあります。そのため、「生活費や教育費は、これを当たり前に出せば(必要な額をその都度与えれば)、もともと非課税なのだから、わざわざこの制度を使うまでもない。」と言う人もいます。


資力を喪失した者に対する支援

資力を喪失して債務の弁済が困難になった子や孫に代わって、親や祖父母がその肩代わりをした場合、あるいは、資力を喪失して債務の弁済が困難になった人(子や孫に限りません)に対して債務の弁済を免除した場合も、贈与税はかかりません。ただし、ここで税金がかからないのは、債務を負った人が「全財産をはたいても、なお、弁済することができない部分」に限られます。




ハッピーハウス税務相談室
税理士 坂西 史也
 
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